6月29日の「辞任する気はない」と話した記者会見からわずか1カ月。26日に辞任を発表した野村ホールディングスの渡部賢一グループ最高経営責任者(CEO)の決断の背景には、証券市場で「野村外し」が相次いだことがある。トップ交代で事態収拾を急ぐとともに、世代交代によって収益低迷からの脱却を目指す。
「収益立て直しを急ぐべき時にもたもたしている場合ではない。早く決着させなければ」。増資インサイダーへの関与を巡り金融当局との綱引きが本格化した5月中旬。野村幹部は危機感をあらわにした。
だが解決の糸口はなかなか見つからない。相次ぐ情報漏れの発覚を受け、ある金融庁幹部は「根本的な原因は何か。解決のための対応策を打ち出してほしい」と語った。
「どうしたらいいのか」。金融庁の真意をつかめないまま、野村は6月末に調査報告結果と再発防止策を発表し、機関投資家向け営業を5日間自粛した。だが、当局の「合格点」は得られない。
そうこうする間に、投資家や企業が野村との取引を控える動きが次々と表面化しだした。過去1年以上も大和証券と共同で準備してきた日本航空の再上場で主幹事を統括する役割からも外された。「あれは正直ショックだった」。ある野村首脳は動揺を隠さなかった。
営業の現場でも「おわび」を優先してなかなか実績が上がらず、士気が低下するなど悪循環に陥りつつあった。渡部CEOは身を引くことで、こうした事態収拾を図った面もある。26日の会見で渡部氏は「当局とのコミュニケーションが少なかった」と語った。
「新しい世代に」
今回の人事では、渡部氏、柴田拓美グループ最高執行責任者(COO)とともに野村の経営を10年以上率いてきた複数の役員も退任した。永井新CEOは「会社の一種の『棚卸し』をして、新しい世代の経営陣による過去にとらわれない経営を進めていきたい」と語った。
かつては「キープヤング」と呼ばれる若手の抜てき人事で社内の活気を保ってきた野村。だが過去10年あまりで経営陣の新陳代謝が鈍り、社員らの間に不満がたまっていたとの指摘もある。「今年でもう還暦だからな……」。渡部CEOは年明け以降、周囲の人間にこう漏らしていた。今回の問題がなくても、次の人事では大幅な世代交代を狙っていたとみられる。
海外事業が課題
だが経営陣を刷新しても、収益立て直しの道は平たんではない。欧州の債務危機は続き、萎縮した投資家の取引は盛り上がらないまま。永井新CEOは「従来の投資銀行のビジネスモデルは非常に厳しくなる」と話す。
目先の課題は低迷が続く海外事業の立て直し。野村は2008年秋に米リーマン・ブラザーズから約8千人を受け入れて海外事業を大幅に拡大した。だがその後の欧州債務危機などで海外の合理化が追いつかない。永井新CEOは今後の海外事業について「選択と集中を大胆に行う」と話す。
ガリバー野村の危機ですね。
今回の件が起きる前にしても
起きてからにしても
いずれにしても対応が甘いと。
事態を甘く見ていた野村も
結局CEOの辞任をせざるを得なくなったと。
記事にある通り、日航の主幹事を外されるっていうのは
かなり大きいですよね。
日航ほど名の知れた企業のIPOの案件で野村を外すっていうのは
証券業界ではなかなか例外的なことだと思いますので。
大和証券の処分のニュースも出ていましたが
今後金融機関にはさらに厳しいコンプライアンス体制が
求められるべきでね。
まぁ、証券会社にいた人間としては
許せんニュースなわけですよ。はい。
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