モルシ氏がエジプト大統領就任、民政移管を宣言(読売新聞)

【カイロ=新居益】エジプト大統領選で当選したイスラム主義組織ムスリム同胞団出身のムハンマド・モルシ氏(60)は30日、カイロの最高憲法裁判所で宣誓し、大統領に正式就任し


 モルシ氏は宣誓式で「今日、エジプト人は真の民主主義と完全な自由の実現に向けた基礎を築いた」と述べ、「新生エジプト」の実現を目標に掲げた。


 モルシ氏はこの後、カイロ大学で就任演説し、「軍は国境を守る任務へと戻る」と明言した。モルシ氏は「民意で選ばれた諸機構がその役割を取り戻す」とも述べ、軍が出した人民議会(下院)の解散宣言を拒否する考えを示唆した。


 就任演説後の軍式典で、軍最高評議会のタンタウィ議長は「(権限移譲の)約束を守る。自由公正選挙で選ばれた大統領が国を運営する」と述べ、その後、モルシ氏が民政移管を宣言。ただ軍は、既得権益の確保を図る姿勢を示しており、新政権との駆け引きは続きそうだ。


 モルシ氏は「パレスチナ人が正当な権利を獲得する」と述べ、パレスチナ支援を明確にした。今後、イスラエルや米国との関係が冷却化する可能性もある。(2012710121 読売新聞)




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ジャスミン革命からの流れをざっくりと振り返ってみましょう。


ジャスミン革命の流れを受けエジプト革命がおこりました。

そしてムバラク政権の崩壊し、

しばらく国軍最高評議会(SCAF)が暫定統治を行ってきました。


SCAFが暫定統治を行ったのは憲法の規定でもあり、

ムバラクの意向でもあったようです。


エジプトの大統領選で当選したのは

イスラム主義組織ムスリム同胞団出身のムハンマド・モルシ氏。


そして30日にモルシが大統領就任宣言を行い

正式に国民が選んだ大統領になったと。


エジプトの歴史からすると、

国民が選ぶ大統領が出たことはかなりのインパクトではありますが、

この後スムーズに政策を進めていくことができるかというと

なかなか難しい部分もあるのです。


というのは、従来エジプト軍のトップは

大統領が兼ねており、

大統領はエジプト軍の出身であったため

齟齬が生じることはありませんでした。


617日にSCAFが発布した、「憲法宣言追加条項」によって、

大統領の権限は制約されています。

この追加条項によって、

軍の予算と人事権に対する大統領の憲法上の権限は

制約されることになりました。

大統領・最高司令官としての大権である宣戦布告に際しても、

SCAFの同意が必要とされました。


ただ、ムルスィー大統領にまったく権限がないわけではなく、

自由な選挙投票によって国民の支持を得た大統領の正統性は、

エジプト政治においては見過ごしがたいことです。


この状況をある種の「コアビタシオン」と呼ぶ人もいるようです。

コアビタシオンというのは

フランスの大統領と首相がそれぞれ

違う政党に所属していることを言います。

ちょっと違いますが、ねじれ国会みたいなイメージに近いですかね。



就任演説後の軍の式典でもSCAFのタンタウィ議長は

「(権限移譲の)約束を守る。」

と言っているものの、

軍としては既得権益を確保しようという姿勢を示していることもあり、

この先モルシ大統領がいかに舵を取っていくかが

注目されるところです。


上の記事にもありますが、

就任演説後の軍の式典でもSCAFのタンタウィ議長は

「(権限移譲の)約束を守る。」

とは言ったものの、

軍としては既得権益を確保しようという姿勢を示しており、

この先モルシ大統領がいかに舵を取っていくかが

注目されるところです。


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