伊藤忠商事(8001)、デサント(8114)を敵対的TOBで出資比率40%へ

伊藤忠、デサント株をTOB 1株2800円、出資比率40%目指す

 https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL31H5O_R30C19A1000000/

伊藤忠商事(8001)はもともとデサント(8114)の筆頭株主で現在30%近く保有しています。

古くはデサント(8114)が経営危機に陥った際に資本注入したわけですが、その後デサントが韓国偏重の経営戦略を進めるにつれ、伊藤忠側の不信感が募っていったということのようです。

そして、徐々に伊藤忠がデサント株の保有割合を増やしていった。その間デサントもワコールHD(3591)との提携を実現させたりや失敗はしたもののアシックス(7936)との提携を画策したのですが、資本提携まではつながらずといった状況。

そんな中で、デサント側としては経営陣によるMBOを行い非公開化を検討し伊藤忠に対し協議を申し入れたところ、伊藤忠側がそれを契機にTOBを発表となりました。

伊藤忠側としてはふざけるなという思いがあるのでしょうね。

特に今の会長はアパレル畑を歩いてきて、デサントとも深く関わってきた人物ですので、「恩をあだで返された」という思いが強い様子。

1984年デサントの経営難以降伊藤忠支援し、94年からは伊藤忠の出身者がデサント社長に就任して事業拡大を行ってきました。

98年のアディダスとのライセンス契約終了時もさらに支援を行ってきましたが、2013年に創業家の石本氏が社長に就いてから両社の方針にずれが生じたのかと思います。

デサント側も業務提携を行ったワコールが厳しい状況であるがゆえ資本提携にまでは結びつかず、他のホワイトナイトとなるような提携先を見つけることができなかったため資本の原理に巻き込まれてしまうこととなりました。

伊藤忠も5割ほどのプレミアムを付けてTOBを行うほどの価値があるのか?という問題も発生してくると思いますので、これをきっかけに伊藤忠自身の価値が棄損されることになるという批判が起こりえます。

ただ、伊藤忠の規模からしてそこまでの大きな問題になる可能性は低く、デサント側はどうやって落としどころを見つけていくかがポイントになるでしょう。

この高くなった株価の中でMBOを強行するか、伊藤忠との協議を継続するか、他の提携先を見つけるか、今後の動きが気になるところです。